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のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」

bbbvxz

1:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)19:27:56 ID:MOZaDl5ts

思わず、曇り空に向かって呟いてしまった。

高校を卒業した後、僕は大学には行かなかった。確か、ドラえもんは僕が1浪して大学に行くと言ってたけど、大学は到底無理だった。
今僕が働いているのは、しがない中小企業だ。これも、ドラえもんが言っていたのとは違う。就職活動に失敗することもなく、起業することもなく、高校卒業した後に、いとも普通に就職をした。

……まあ、これが人生なのかもしれない。ちょっとしたことで、未来は変わるのかもしれない。

未来ってのは、なんとも脆いものなんだろうな。
のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
引用元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1407666476


8:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)19:38:49 ID:MOZaDl5ts

会社での生活は、学校の時と何一つ変わらない。
毎日上司に怒られて、落ち込んで……

――だけど、あの頃と違うものもある。

ローカル線沿いにある小さな古いアパートが、今の僕の家だ。
実家から通うことも出来たけど、父さんも母さんももう歳だ。僕が独り立ちすれば少しは安心するだろうし、穏やかな老後を過ごすことが出来るだろう。

薄暗い部屋の電気を付ければ、1Kの小さな部屋に明かりが灯される。
部屋には必要最低限のものしかない。テレビ、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ……
寂しい部屋ではあるが、これが、僕の住まいだ。


11:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)19:50:43 ID:MOZaDl5ts

誰もいない部屋の隅に鞄を置き、スーツのままボロボロの畳に寝転がった。
もう見慣れた天井。相変わらず染みだらけだ。スーツもずっと着続けているからか、ところどころ色落ちしている。

「………」

――ふと、部屋の片隅にある事務机に目をやった。
机の上には仕事のために買ったノートパソコンと、仕事で使う資料が置かれている。マンガはない。
布団から立ち上がり、机に歩み寄る。そして、しばらく机を見つめた後、静かに引き出しを開けてみた。

――当然だけど、引き出しの中には、何もなかった。


15:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)20:02:30 ID:MOZaDl5ts

次の休みの日、久しぶりに、僕らは集まった。

「――ホント、久しぶりだな!!」

ジャイアンは、相変わらず豪快に笑う。
彼は今、企業の社長をしている。高校を卒業した後、彼は一度就職した。だが、そこはかなりのブラック企業だったらしく、部下を何とも思わない心無い上司に激怒し、半ばケンカ別れのように辞職した。そして、自分で会社を立ち上げたんだ。
会社は好調のようだ。それは偏に、彼の人柄のおかげだろう。部下を大切にし、得意先に社長自ら赴き交渉する。引く時には引き、行くときには行く。彼のいい部分が、全面的に作用しているようだ。

「ジャイアン、相変わらず声が大きいなぁ……」

スネ夫は苦笑いをしながら、ビールをちびちび飲んでいた。
彼は今、デザイナーを目指している。なんでも、その道で有名な人に頼み込んで、弟子入りをしたとか。
彼は父親の会社を継がなかった。両親とはかなり口論となったようだが、父の会社を振り切り、自らの道を切り開いたんだ。今では、両親も彼を応援している。だが彼は、両親の支援を一切受けていない。『夢は自分の力だけで叶えたい』……それが、彼の言葉だった。


16:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)20:03:32 ID:tGNN1BvW0

ドラえもんss多いな


17:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)20:09:38 ID:MOZaDl5ts

「二人とも、本当に立派になったよな……」

笑ながら話す二人を見ていて、言葉が漏れていた。

「よせやいのび太。そんなんじゃねえよ」

「そうそう。お前だって、ちゃんと働いてるじゃないか」

「……僕は、ただそれだけだよ。何かをしようとしているわけでもない。ただスーツに着替えて、会社に行って、怒られてるだけだ……」

「……そんなに卑屈になるなよ。働いてるってのは、大人になったってことなんだよ」

「そ、それより、今日はしずかちゃんは来ないの?」

スネ夫は慌てながら話題を逸らした。気を、遣わせてしまったかもしれない。

「……しずかちゃんは、今日は仕事だよ」

「そっか……残念だな」

「しょうがないよ。しずかちゃんは、大手の企業に勤めているからね。――出木杉と一緒に……」

「………」
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19:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)20:16:27 ID:MOZaDl5ts

それから、僕らは夜遅くまで宴会をして別れた。

二人とも、立派に自分の道を歩いている。……片や、僕はどうだろう……

(……僕は、ダメだな……)

考えれば考える程、鬱な気持ちになってくる。もしドラえもんがいたのなら、助けてくれたかもしれない。
……でも、彼はもういない。そして、いくら考えても、何か現状が変わるわけでもない。

(……帰るかな……)

考えるのを止めた僕は、夜道を再び歩き出した。空を見上げてみたけど、あいにく星は見えなかった。雲に隠れた朧月だけが、逃げるように光を放っていた。


20:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)20:25:58 ID:MOZaDl5ts

「――野比!!何度言わせるんだ!!」

「す、すみません……!!」

オフィスの一角で、僕は相変わらず上司に怒鳴らていた。提出した書類に、不備があったからだ。

「……まったくお前は、なぜそういつもいつもミスばかりするんだ。お前が作ってるのは、ただの紙きれじゃないんだぞ?この会社の、必要な書類なんだ。少しは自覚しろ」

「はい……」

この上司は、本当に口煩い。だけど、本当は優しいのも僕は知っている。以前僕がとても大きなミスを犯した時、必死に僕を守ってくれた。そのおかげで、なんとか始末書だけで済んだことがある。
感謝はしているが、こう毎日毎日怒鳴られては凹むものは凹む。
……まあ、僕が悪いんだけど……


「――大変だったね……」

落ち込み通路のソファーに座ってると、突然横から声をかけられた。

「咲子さん……」

「お疲れ様。のび太くん」

……咲子さんは、いつもと変わらない笑顔を僕に向けていた。


21:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)20:28:02 ID:uUdz0PRHP

ほう…ここで咲子さんか…


22:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)20:30:03 ID:jWRc7aAsL

咲子って何者だ?
細かい登場人物はわからねぇ


23:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)20:31:12 ID:uUdz0PRHP

>>22
のび太の同僚
原作でもいる


25:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)20:33:27 ID:2ZdKeba6l

>>22
花賀咲子で検索検索!


30:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)20:43:46 ID:2ZdKeba6l

http://dsdb.jp/character/tc-1620.html
この18巻項目参照


34:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)21:13:36 ID:W5U2lqmVJ

>>30 ありがたい

しかも、1がそれを組み込む

ありがたい


31:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)20:48:04 ID:MOZaDl5ts

「――もう、のび太くんは本当にいっつも怒られてるよね」

「う、うん……ごめん……」

「なんで私に謝るのよ。だいたいのび太くんはね、ちょっと気が弱すぎるよ?もうちょっと男らしくしてみたら?」

咲子さんは、ちょっと気が強い。こうやって毎回慰めてくれてはいるが……けっこう、言葉がキツイ。

「……ってことで、ちょっと言ってみて!!」

「……え?え?」

「もしかして、聞いてなかった?」

「ああ……ご、ごめん……」

「はあ……もういいわ。――はい、じゃあ私の言葉に続いて!」

「う、うん!」

「――今度!」

「こ、今度!」

「お礼に!」

「お礼に!」

「食事でも!」

「食事でも!」

「行きませんか?」

「行きませんか?」

「――ええいいわ!行きましょ!」

「………へ?」


33:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)21:03:28 ID:MOZaDl5ts

次の休日、僕はなぜか咲子さんと街を歩いていた。

……そう言えば、紹介が遅れていた。
花賀咲子さんは、僕の仕事場の同僚だ。小学生の時にドラえもんが道具の“ガールフレンド・カタログ”で見たことがあった。……もっとも、それを思い出したのは、ごく最近だが。
咲子さんは、職場では人気者だ。仕事が出来て、明るくて、世話好き。彼女がいるところからは、いつもみんなの笑い声が聞こえてきていた。
僕は、咲子さんとは同期になる。同じ時期に入社したのだが、全然ダメな僕とは全然違う。
正直に言えば、少しだけ、嫉妬してしまってる。

「――それでのび太くん。今から、どこに連れてってくれるの?」

「え、ええ?僕が決めるの?」

「当然でしょ。男なんだし」

「……それは偏見だよ……」

「いいから!ほら、さっさと決めて!」

無茶振りされても困る。こうやって女の人と出かけたことなんて、しずかちゃんぐらいしかないのに……
でも、咲子さんは何かを期待するように僕を見ていた。何か決めないと、またどやされる。

「……じゃあ……え、映画…とか?」

「う~ん……ちょっとベタすぎるけど……まあ合格ね。――さ!行きましょ!」

僕の前で一度クルリと回った咲子さんは、そのまま歩き出した。しかたなく、僕もそれに続くのだった。

「」


36:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)21:40:59 ID:MOZaDl5ts

「――面白かったね!!」

「う、うん……」

映画館を出た後、咲子さんは上機嫌だった。よほど気に入ったようだ。
映画は、咲子さんが選んだ。というより、僕は何もしていない。映画館に着くなり、咲子さんは有無を言わさずその映画のチケットを購入したからだ。
咲子さんが選んだ映画は、外国の恋愛ものだった。まあ、よくあるパターンの映画だから、内容は割愛しよう。
ただ、僕としては少し退屈なものだった。もちろん、それは彼女には言わないけど。だって彼女はこんなに上機嫌なんだ。それにわざわざ水を差すこともないだろう。

「ねえねえ!次、どこ行こっか!」

「つ、次?ええと……」

「もう……女の子とデートするんだよ?デートプランくらい立ててよね」

「で、デート!?」

「何驚いてるのよ。当然じゃない」

「ま、まあそうなんだけど……」

……全然、そんな自覚なかった。昼過ぎに集まるように言われてたから、晩御飯まで時間つぶしのために映画を選んだんだけど……これは、デートだったのか……

「まあいいわ。じゃ、ついて来て」

「え?で、でも……」

「いいからいいから!ほら!」

咲子さんは、僕の腕を引っ張り始めた。人通りの多い道路を、僕らは歩く。すれ違う人は不思議に思うかもしれないな。笑顔で男を連れまわす女性と、腕を引っ張りまわされる男。

(完全に、立場が逆だな……)

そうは思いつつも、なされるがままになるしかなかった。


39:はなやに◆KQ12En8782:2014/08/10(日)21:44:10 ID:teJwYILX7

ん? のび太以上の銃の達人?

以上かどうかはわからんが、有名なのは次元大介さん。
あと、冴羽遼さんもかなりのもの。


42:名無しさん@おーぷん:2014/08/10(日)21:49:29 ID:yWA0cmbm4

>>39
のび太は速撃ちに関しては次元より上だよ
ゴルゴとタメ張るくらい


41:はなやに◆KQ12En8782:2014/08/10(日)21:49:23 ID:teJwYILX7

でも、次元も冴羽もゴルゴも、裏社会の人間だから、
オリンピックの射撃とかでメダル取れるのは、
多分のび太しかいないだろうね。


52:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)22:03:08 ID:MOZaDl5ts

「――ふ~。さすがに疲れたね。ちょっと休憩しよ」

少しだけ強く息を吐いた咲子さんは、ショッピングモールの片隅にあるベンチに座り込んだ。そして僕もまた、そこに座った。

「……賛成」

さんざん町内を連れまわされた僕は、けっこう限界に来ていた。さすがの咲子さんも疲れたようだが……それでもまだ余裕がある。タフだな、この人。

「私、ちょっと飲み物買って来るね」

「うん。分かった」

「待っててね!」

そう言い残し、咲子さんは走り去って行った。遠くなる彼女の背中を見送った後、上を見上げてみた。
ショッピングモールの天井は透かし窓になっていて、青い空が見えていた。雲はゆっくりと進んでいる。こんな日は河原で昼寝でもしたいものだが……

「……なんでこんなことになったのやら」

心の声が、漏れてしまった。



「――あら?」

背後から、何かに気付いた声が聞こえた。どこか、聞き覚えのある声だった。僕は無意識に、後ろを振り返った。

「ん?」

そこにいた人物を見た僕は、思わず立ち上がった。


「……しずかちゃん……」

「……久しぶりね。のび太さん……」


――実に、1年ぶりの再会だった……


54:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)22:17:29 ID:MOZaDl5ts

「本当に久しぶりだね。今日はどうしたの?」

「……ちょっと職場の買い物。のび太さんは?」

「……僕も、買い物だよ」

「………」

「………」

沈黙が、僕達を包んでいた。
本当は色々と話したいことがあった。ジャイアンのこと。スネ夫のこと。僕のこと。そして聞きたかった。しずかちゃんのことを……
だけど、こうして思いがけず会うと、なぜか言葉たちが引っ込んでしまっていた。
それでも、言葉こそないが、とても懐かしい雰囲気だった。とても心地よい、あったかい雰囲気だった。

ただ、いつまでもこうして黙っておくわけにもいかなかった。

「……しずかちゃん、仕事忙しそうだね」

「う、うん……休みがほとんどないわ」

「そっか……大変だね」

「うん。でも、とても充実してるわ」

「そっか……。――あ、でも、体には気をつけてよ?忙しい時こそ、体調を壊しやすいんだし」

「そのあたりは大丈夫よ。相変わらず心配性ね、のび太さん。フフフ」

「しずかちゃんこそ。相変わらずだね。フフフ」

「………」

「………」

……再び、沈黙が訪れた。


58:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)22:33:54 ID:MOZaDl5ts

流れる沈黙の中で、必死に自分を奮い立たせていた。今しかない。今しか、チャンスはない……
震える唇を噛み締めて、ようやく、声を絞り出した。

「……ええと、しずかちゃん」

「……なぁに?」

「こ、今度、二人でご飯でも―――」

「――ごめんしずか!資料がなかなか見つからなくて!待たせてしまっ―――」

「―――」

……あと少しのとこまで来ていた言葉は、再び喉の奥へと逃げていった。いや、正確には、飲み込んでしまった。
しずかちゃんの元に駆けよって来た、その人物を見たせいで―――

「……で、出木杉……」

「……野比、くん……」

「で、出木杉さん……」

「………」

三人とも、言葉を失ってしまった。まるで石になったかのように、全員動けずにいた。
――そんな僕らに向かって、更に声がかかった。

「――のび太くんお待たせ!自動販売機が思ったより遠く…て……」

「……さ、咲子さん……」

「………」

その場に固まるのが、4人に増えてしまった。


60:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)22:46:35 ID:MOZaDl5ts

「……やあ野比くん。久しぶりだね」

沈黙の中、一番最初に口を開いたのは出木杉だった。

「あ、ああ。久しぶりだね……」

「今日は、出木杉さんと職場の備品を買いにきてたのよ……ね?出木杉さん?」

「そうなんだ。しずかと、二人きりで、ね……」

「………」

久々に会った出木杉は、しずかちゃんを呼び捨てにしていた。そして、二人で出かけていたことを、やけに強調させる。
今の彼は、以前会った時とは全く違う。――まるで、僕に対して、威嚇をするようだった。

「……ところでのび太さん。その人は?」

しずかちゃんは僕の背後に立つ咲子さんに視線を向けた。

「あ、ああ。この子は……」

「―――ッ」

そう言いかけたところで、咲子さんは僕の前に出た。そして、しずかちゃんの正面に立ち、少し速めに一度だけ会釈をした。

「……初めまして。私、花賀咲子といいます。のび太くんとは、職場の同僚です」

「え、ええ……はじめまして。源しずかです。よろしく」

「……出木杉です。花賀さんは、野比くんとお出かけかな?」

「ええそうですよ。今日は、二人で出かけてるんです。」

「………」

「のび太くん。もう行こ」

「え?――あ、ちょ、ちょっと――」

咲子さんは、僕の手を強引に掴み、ツカツカとその場を離れはじめた。慌ててしずかちゃんの方を見る。しずかちゃんは、一度僕に視線を送り、そのまま出木杉と歩いて行った……


67:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)23:31:32 ID:MOZaDl5ts

「………」

「……さ、咲子さん……?」

「………」

「……ね、ねえ……」

「………」

(……まいったな……)

さっきから、ずっとこの調子だ。
それまでの上機嫌とは打って変わって、とにかく不機嫌になっている。こうやって僕の前をただ歩き。一言も口にしない。
本当はしずかちゃんが気になったけど……しばらく僕の手を放してくれなかったし、こんな調子の彼女をほっとくわけにもいかず、結局しずかちゃんとの久しぶりの再会は、ほんのわずかな時間しか叶わなかった。

「……さっきの人、誰?」

「え?」

「さっきショッピングモールにいた人!!誰!?」

「ええと……」

……そうか、出木杉か。確かにあいつ、かなりのイケメンになってたな。身長だって高いし。
この世の中、イケメンこそ、男の中でもっとも位の高い身分なのだ……

「……あいつは出木杉って奴で、大手の企業に勤めてて……」

「――そうじゃなくて!!」

そう叫ぶと、彼女はようやく足を止めた。そしてしばらく黙り込み、ゆっくりと振り返った。

「……あの女の人……誰よ……」

「……え?」

「」


69:十四年式◆IoGOmW4ms6:2014/08/10(日)23:34:32 ID:GKaLP62re

のび太鈍感すぎwwww上条さんかよwwww


72:◆IAvTSYr7MA:2014/08/10(日)23:58:50 ID:MOZaDl5ts

「え?えっと……しずかちゃんのこと?」

「……そうよ。その“しずかちゃん”のことよ」

彼女は目を伏せたまま、どこかふてくされたように言う。まるでおもちゃを買ってくれなかった子供のようにも見えた。

「ええと……しずかちゃんは、出木杉と同じ企業に勤めてて……」

「そういうのはいいの!のび太くんとの関係!」

「あ、ああ……しずかちゃんは、僕の小学校の時の同級生なんだよ。――あ、中学校も一緒だったか」

「ふ~ん……それで仲がいいのね………で?付き合ってたの?」

「つ、付き合う!?」

「……その反応を見る限り、付き合ってはないみたいね……」

「………」

「……ホント、分かりやすい反応するのね……ボソッ」

「……え?何か言った?」

「なんでも。――それより、ご飯食べに行きましょ。私、お腹空いちゃった」

そう言うと、彼女はまた前を向いて歩き始めた。
僕はそれ以上何も言えず、ただ彼女に付いて行くだけだった。


77:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)00:07:57 ID:urbDGZkm7

「――ふ~ん……出木杉となぁ……」

ジャイアンは、ソファーに座ったまま腕を組みながら声を漏らす。
ここはジャイアンの職場。つまりは、彼の会社。
彼の会社も僕の会社の取引先となっている。当然ながら、毎回商談は僕が駆り出されていたわけで、こうやって、たまに挨拶周りという名目で、話をしに来ていた。

「……そうなんだよ……」

「しかも、呼び捨て、と……」

「うん……」

「……出木杉の奴……それよりのび太、お前、それでいいのか?」

「え?」

「しずかちゃんのことだよ。お前だって分かってるだろ?――出木杉、しずかちゃんを狙ってるぞ?」

「………」

そんなこと、わかってるさ。分かってるけど……だけど……

「……僕、そろそろ戻るね……」

「お、おい!のび太!!」

ジャイアンの声に一度だけ足を止めたけど、そのまま会社を出ていった。何かから逃げるように。


78:名無しさん@おーぷん:2014/08/11(月)00:08:05 ID:sjnqrZDE5

切ないな
ハッピーエンドになるのか不安


79:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)00:14:54 ID:urbDGZkm7

家に帰った後、いつものように畳に寝転がった僕は、ジャイアンの言葉を思い出す。

(……これでいいのか、か……)

いいはずなんてない。出木杉に取られてもいいはずなんてない。ずっと一緒にいたんだ。ずっと、一緒になると思ってたんだ。
……だけど、実際は違っていた。しずかちゃんが女子高に進学してから、連絡を取る回数も極端に減った。高校を卒業すると、彼女は大学へ、僕は会社にそれぞれ通うようになり、連絡すらとらなくなっていた。
ごくたまに買い物に出かけたりはしていたが、しずかちゃんの仕事が忙しくなってからは、会うことはもちろん、話すことすらなくなった。
考えてみれば、しずかちゃんと疎遠になったきっかけは、中学を卒業したころかもしれない。

(……そういえば、ドラえもんがいなくなったのも、あの頃だったな……)

僕の脳裏には、セピア色の情景が甦っていた―――


80:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)00:24:44 ID:urbDGZkm7

――あの日僕は、進学先の調査票を片手に、家に急いで帰った。

『ドラえもん!!大変だよ!!しずかちゃんが女子高に―――!!』

……だが、僕の部屋には、誰もいなかった。
その時はすぐに帰ってくると思ったけど、結局夜になっても、ドラえもんは帰ってこなかった。
スペアポケットを使ってどこに行ったのか調べようと思った僕は、ドラえもんの押入を開けた。でもそこも、もぬけの殻だった。
まさかと思い引き出しを開けたら、タイムマシンすらもなくなっていた。
慌てて父さんと母さん、ジャイアンとスネ夫、しずかちゃんと一緒になって街中を探したけど、結局ドラえもんは見つからなかった。
後で調べたら、ドラえもんが映っていた写真すらもなくなっていた。

まるで最初からいなかったかのように、ドラえもんは忽然と姿を消した。
残ったのは、記憶の中のドラえもんだけだった。


81:名無しさん@おーぷん:2014/08/11(月)00:26:08 ID:G4rAg6KBP

とてもつらい


83:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)00:31:06 ID:urbDGZkm7

(……きっと、今の僕を見たら、キミは怒るだろうな……)

天上を見つめながら、ふと、そんなことを考えた。

僕だってしずかちゃんと結婚したい。だけど、僕なんかがしずかちゃんと結婚していいのだろうか。出木杉はとても立派になった。ジャイアンもスネ夫も、みんな自分で自分の人生を歩いている。
……それに比べて、僕はどうだろう。惰性に流され、ただ生きてるだけじゃないか。
こんな中途半端な僕と結婚しても、しずかちゃんはきっと幸せになれない。

……最近じゃ、こんなことまで考えている。

「……どこまでも、本当にダメな奴だな。僕は……これじゃキミも、愛想を尽かせるはずだな……」

気が付けば、失笑と共に、そんな言葉を呟いていた。


85:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)00:42:03 ID:urbDGZkm7

――その時だった。

――カランッ

突然、玄関の郵便受けに、何かが投げ込まれる音が聞こえた。

「……ん?こんな時間に郵便?」

時間は夜遅い。普通なら、郵便なんて届く時間じゃない。不思議に思いながらも、玄関の郵便受けを開けてみた。
そこには、便箋が一通。宛名も、消印もない。
どうするか悩んだが、中を開けてみた。

そこには、一枚の手紙が入っていて、その手紙を手に取り、読んでみた。


―――――――――――――――――――――――――


のび太くんへ

今キミは、何かに悩んでいると思う。

のび太くん。キミは、きっと勘違いをしてるよ。
全部うまくいく人生なんてないんだ。
誰でも躓いて、悩んでいるんだ。
キミの周りにも、輝いている人がいるだろう?
その人達も、キミが知らないだけで、頑張ってるんだよ。

だから、頑張って、のび太くん。

キミは確かにドジだけど、キミにしかないいいところもたくさんあるんだ。
辛く苦しいかもしれないけど、とにかく、今自分に出来ることを一生懸命頑張ってね。
そうすれば、きっと道が開けるさ。

もう一度言うね。

頑張って、のび太くん。
僕はいつでも、キミを応援してるよ。


――――――――――――――――――――――――



「―――こ、これは……この字は……!!」

目を疑った。信じられなかった。
――でも、見間違いようもなかった。

「この字は………ドラえもんの字だ……!!!」


86:名無しさん@おーぷん:2014/08/11(月)00:44:01 ID:jj4lBmb42

ドラえもおおおおおおおおおおん


90:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)00:52:19 ID:urbDGZkm7

「ま、まさか……!!」

慌てて、裸足のまま外へと駆け出した。そして、アパートの周辺を走り回った。

「ドラえもん!!どらえもん!!!」

ずっと、名前を呼び続けた。
……でも、声が返ることはなかった。

しばらく探し回った後、一度家に帰る。そして、もう一度手紙を見てみた。
よく見れば、手紙はまだ新しい。まるで、つい最近書かれたかのようだった。

(どこかにいるんだ……ドラえもんが、どこかにいるんだ!!)

でもそれなら、どうして姿を見せないのだろう。何か理由でもあるのだろうか……

……考えても分からない。分からない―――けど……

(……ドラえもんが、僕を見ている。――応援してくれてる!!)

――僕の中で、何かが芽生えた。それまで消えてしまっていた、何かとても大きなものが、確かに僕の心に溢れていた。


95:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)01:02:48 ID:urbDGZkm7

「――野比!!この書類だが―――!!」

「――はい!!すぐ訂正します!!どこを直せばいいですか!?」

「お、おう……ええと……こ、ここをだな……」

「そこですね!?分かりました!!すぐ訂正します!!」

「あ、ああ……」

デスクに向かうと、すぐにパソコンのキーボードを叩き始める。カタカタと、キーを叩く音が軽快に、断続的に流れていた。

――ふと、机の隅に置いた便箋に目をやる。

「………」

(……ドラえもん。僕、頑張るよ……!!)

そして、画面に視線を戻した。


97:名無しさん@おーぷん:2014/08/11(月)01:04:42 ID:QoX8DxHrU

感動


99:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)01:11:34 ID:urbDGZkm7

「――のび太くん……今日はどうしたの?」

休憩時間にジュースを飲んでいると、咲子さんが聞いてきた。

「え?何が?」

「いやだって……なんか、いつもと全然違うし……」

「そうかなぁ……」

「うん!全然違う!なんかこう……生き生きしてる感じがする!」

「……まあ、がっかりさせないようにしないといけないしね」

「なんのこと?」

「……なんでもないよ。でも、そんなに変かな?」

「う、うんうん!全然変じゃない!むしろ―――!!」

そう言うと、咲子さんは固まってしまった。
なんか、目をパチクリさせてる。

「……?どうしたの?」

「な、なんでもない!!なんでもないから!!」

「え?でも、顔赤いよ?」

「~~~ッ!!な、なんでもないの!!」

そして咲子さんは、そのままどこかへと走り去って行った……

「……なんなんだ?いったい……」


101:名無しさん@おーぷん:2014/08/11(月)01:14:40 ID:G4rAg6KBP

咲子さん。。。のび太鈍感すぐる


104:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)01:34:12 ID:urbDGZkm7

仕事帰り、いつもの帰宅コースを大きく外れ、僕はいろんなところを通りながら歩いていた。
理由はもちろん、彼を探すためだ。

(……やっぱりいない、か……)

キョロキョロと付近を見渡しながら歩く姿は、もしかしたら不審者のように見えるかもしれないな。
やはり、何か姿を見せることが出来ない理由があるのだろうか……
気にはなったが、いくら考えても答えなんて出るはずもなかった。

それでもしばらく探し回って、家に帰った。


105:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)01:34:50 ID:urbDGZkm7

帰りつくと、家の郵便受けには、また、一通の便箋があった。

「―――!!ドラえもん!?」

慌てて家の中に家の中に駆け込み、鞄を放り投げて、立ったまま手紙を開く。

――――――――――――――――――――――

のび太くんへ

今日はどうだった?久々に充実しなかった?
それが、生きるってことなんだよ。
疲れたかもしれないけど、毎日を一生懸命過ごせば、毎日が輝くんだよ。

確かに、一生懸命頑張っても、叶わないこともある。
だけど、その途中で経験したことは、必ずキミの大きな財産になるんだ。

僕は、キミのことを手伝うことは出来ない。
だから、キミがやらなくちゃいけない。
そして何かあれば、責任も取らなくちゃいけない。

だけど、頑張っていれば、きっと誰かが助けてくれるから。
キミの頑張りを、きっと誰かが見てくれているから。
そこに、大きな意味があるんだよ。

頑張れ!のび太くん!
僕にはそれしか言えないけど、頑張れ!のび太くん!
頑張れ!


―――――――――――――――――――――


「……ドラ……えもん………ドラえもん……!」

――涙が、溢れて来た。

ドラえもんの言う通りだった。今日一日は、とても充実していた。
どうしようもなくて、毎日がつまらなくて、いつも周りに流されていた。
そんな僕を、彼は助けてくれた。
姿はなくても、声は聴けなくても、彼は、僕に手を差し出してくれた。

……それがとても嬉しくて、とても暖かくて、僕は、その場で何度も何度も手紙を読み返した。

気が付けば、手紙の文字は滲んでいた。だけど彼の言葉は、間違いなく僕の心に刻み込まれていた。


112:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)01:43:42 ID:urbDGZkm7

それから、定期的に手紙が届くようになった。
届くスパンには差があったが、いつも気が付いたら郵便受けに入っていた。
手紙は、いつも新しかった。
書き溜めをしていたとも思えない。
つまりドラえもんは、この時代に、僕の近くにいる。

ジャイアンとスネ夫にこのことを話すと、その次の休日に、三人で街中を探し回った。
……でも、やっぱりドラえもんの痕跡一つなかった。

誰かが、ドラえもんの代わりに手紙を書いてるのかもしれないとも思った。
でも、何度見ても、その字はドラえもんのものだった。


113:◆IAvTSYr7MA:2014/08/11(月)01:44:51 ID:urbDGZkm7

限界です
今日はもう寝ます
続きはまた明日に……
すんません


115:名無しさん@おーぷん:2014/08/11(月)01:47:31 ID:jj4lBmb42

>>113
お休み!
だが、この作風の変化はどうしたのだろうか
変わりすぎだろ



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コメント

1 .名無し2015年08月01日 00:25▼このコメントに返信

1はラノベの読みすぎ

なんかキモいわ文面が

2 .名無2015年08月01日 00:29▼このコメントに返信


ペラッペラな文章やな

3 .2015年08月01日 00:48▼このコメントに返信

SSに何言ってんだ

4 .名無しさん2015年08月01日 07:00▼このコメントに返信

でもさ咲子さんみたいな人がのび太の
いるような会社に居るわけないじゃん。
居るとしたら父親が早死にして母親がゲスオヤジと再婚して
そのゲスオヤジに咲子がレイプされて、家出して風俗を転々と
して刑務所に入った挙句今の会社ってところじゃね?
肝炎持ちで堕胎のし過ぎで、子供はドラえもんの道具なしには
作れないってところかな。

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